キラキラオトイメロイメモリ
No.13
めちゃめちゃめちゃめちゃ嬉しいです❣
2026.3.17
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どうぞお気軽にメッセージください☺︎(特殊文字や機種依存文字は文字化けしてしまうことがあります😭)
種別:男女CP小説
時間軸:9話
文字数:3082文字
レオン×ミリア
臨時の魔法試験に選出されたのはあかり、沙羅、そしてミリアだった。
レオンはこれ以上用もないのでジュエルランドを去ろうかと思ったが、試験のことが少し気がかりである。
先ほどの教室でのやり取りを見ていても、ミリアと沙羅の雰囲気はあまり良いとは言えなかった。ミリアが最近少しずつ変化しているのは感じているが、沙羅とは以前とあまり変わらないお互い不寛容な様子だった。果たして試験は無事に終わるのだろうか。
それでも自分にできることはないのだから帰って勉強でもしようか考えながら廊下を歩いていると、ハーライト先生に出くわした。
「ハーライト先生、こんにちは」
「あらレオン、こんにちは。これから校長先生の水晶で試験の様子を見るのですが、一緒にどうですか?」
そう誘われてディアンを見ると、「行ってもいいんじゃないか?」と言うように微笑んでくる。
しかしレオンは断った。
「すみません、もう帰るところなんです」
ハーライト先生が「そうなんですね。気をつけて」と校長室に向かうのを見送ると、レオンは
「あかりがいるんだからきっと大丈夫さ。ミリアたちが試験を頑張る分、俺も気を抜いてはいられないだろ?」
とディアンに説明した。
♦♦♦
本を閉じて一息つく。時計を見ると、いつもより進みの遅いことに気がついた。集中できていなかった感覚はなかったから無意識なのだろう。
レオンはミリアたちを心配している。
ミリアはあかりと出会ってから、少しずつ変化していた。それはこれまでミリアの側にいたレオンだからこそ確かにわかるものだ。
自分からあかりをお茶に誘うなど、積極的に行動を共にするようになってきている。ミリアがレオン以外の子と仲良くするのは珍しいことだ。それがレオンにとって嫉妬の感情などはまるでなくて、素直に嬉しいのだった。
と、物思いに更け始めるとディアンが足元に来ていた。レオンを心配してきてくれたのだろう。「何でもないよ」と言ったが、彼は部屋の外へ出て行ってしまった。
ミリアはこれまであまり魔法学校の他の生徒たちとちゃんと仲良くしようとはしてこなかった。少しプライドの高いところがあるから、自分が誰と親しくするのかを選んでいる節があったように思われた。だけどミリア本人がそれで寂しいと思っているようには見えなかったし、ガーネットとサンゴという無二の親友がいるのに加え、国籍も年代も違う生徒たちがいる中で皆と仲良くするということが難しいのをレオンはわかっていたから、何も言うことはなかった。
思えば、レオン自身もディアンとミリア以外の皆に対しては平等に当たり障りなく接してきていた。他人と呼ぶには情があって友と呼ぶには砕けられない、一歩距離をとった関係。何気なく隣にいたが、レオンにとってのミリアもまた一際大事な存在であったのだ。
その時、ドアが開いてディアンが戻ってくる。背にはトレーに乗った一杯のお茶があった。
「ディアン。……ありがとう。少し休憩するよ」
彼にはどうやら何でもない、なんて言葉は通じなかったようだ。さすがパートナーだ。有難い差し入れに心を温めたレオンは、お茶を受け取り彼を膝に乗せた。
甘く優しい香りがした。スパイシーで豊かな味のするそれが、シナモンティーだとわかった。
特徴的な香りがある出来事を思い出させる。大分前、ミリアがまだ1年生だった頃。レオンとディアン、ミリアにガーネットとサンゴ、沙羅とサフィーでストロベリーカフェに行った日のこと。
♦♦♦
ディアン以外のペットたちが注文をしてから続けたのは沙羅だった。サフィーに言われたので来たものの、まだあまり関わりのなかったレオンとミリアとお茶をするのに慣れていないようで、早く帰りたいというオーラが滲み出ていた。
「コーヒー。ブラックで」
短くそう言うと、メニューを眺めていたミリアが反応する。何を思ったのか、
「私も、アップルパイと……ブラックコーヒーで」
と注文した。
「ミリア、ブラックなんて飲めたのか?」
驚いたようにレオンが尋ねれば、ガーネットとサンゴも「飲んだことあるの?」「大丈夫にゃん?」と口々に言った。
「の、飲めるわよ! 私は完全無欠の美少女、KMBなんだから!」
顔を赤くしながら強気に発言するミリアと心配する二匹。一方レオンは「じゃあ俺は、この日替わり……シナモンティーを」と頼んだのだった。
沙羅は本を読んで会話には参加せず、ミリアとガーネットとサンゴが中心になって注文を待っていた。その日の授業のこと、家であったことなどを楽しそうに語るミリアの話は尽きない。沙羅も沙羅で、ページをめくる手は一定でミリアのことは気にしていない風だった。
そのうちケーキとドリンクが揃って皆で食べ始める。
表情を変えずにコーヒーを啜る沙羅を横目で見ながら、ミリアも恐る恐る口に含んだ。
「うぇっ! にっがぁ~!」
大袈裟なほどのリアクションにガーネットとサンゴは心配し、沙羅は呆れ、レオンは苦笑する。「ミリアはまだ小さいから仕方ないわ」とサフィーは言った。
「ミリア、俺のと交換しようか」
レオンがまだ口を付けていないシナモンティーを薦めるも、ミリアは「いいの! これくらい飲み切れるわ」と譲らない。けれどその言葉と裏腹に、アップルパイが苦み一口分を誤魔化すために半分も無くなっていた。
「ミリア、シナモンティーは頼んだことないだろ? 甘くて美味しいから」
「……レオンが、そこまで言うなら」
ミリアは豊かな香りを漂わせるシナモンティーを一口飲む。下がっていた口角がほっと上がった。
「美味しい……」
「よかった」
レオンも安心した様子でミリアの飲みかけのコーヒーを嗜む。そんな彼の目をまっすぐに見てミリアが言った。
「レオン、ありがとう」
♦♦♦
普段は飲まない甘いシナモンティーを啜る。あれ以来ミリアはブラックコーヒーは控えて、シナモンティーを好むようになったようだった。それが分かるくらい、二人と三匹でたくさんストロベリーカフェに行った。
レオンもミリアとこれまで一緒にいて悪くない感じがしていた。懐かれている自覚はある。ミリアのことは可愛いと思うし、可愛がってきた。でもあかりという女の子の友だちは特別なんだろう。あかりと友だちになって起きた変化は、レオンでは与えられなかったものだ。
ミリアと沙羅の相性はお世辞でも良いとは言えない。派手好きなミリアと孤高を貫いてきた沙羅。仲介できる者がいなければ常に相対できない二人だった。だけれどあかりのような、優しい子が間に入ってくれれば大丈夫だろう。それに彼女は何か不思議な力を持っているようにレオンには思えた。
ふとディアンを撫でる手を見つめる。以前ミリアを庇ってできた火傷の痕はすっかり消えていた。あの時のミリアは今まで見せたことのない魔法の力を見せてくれた。
ミリアはただ変化しているのではないかもしれない。まだ小さい彼女は、周りの影響を受けながらすくすくと成長しているのだ。
もちろんこれからも成長し続けるんだろう。そんなミリアと一緒にジュエルスターグランプリに出場したいと、学友として友人として心から思う。
そして、レオンとミリアの二人の関係は変わるのだろうかと考える。いや、これももしかしたら既に変わり始めているのかもしれない。
──だけど二人がこれまで一緒にいたこと、そして育んできた信頼関係は変わらないのだろう。
そう思い至ってレオンは腰掛けていたソファから立ち上がり窓を開けた。ディアンも付いてくる。
風が吹き込んできた。春の、温かくて優しい風だった。
あとがき
序盤のレオミリってどういう関係なんだろう…に対する一つの答えみたいなものを目指して書きました。
散りばめられた要素の回収が上手くいってるかわからないけど、割と面白いものが書けた気がする.ᐟ.ᐟ★★★★★