おとめ倶楽部

キラキラオトイメロイメモリ

No.4

三人寄れば純情の煮え湯

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原作:プリティーリズム・オーロラドリーム
種別:男女CP小説
時間軸:44話後
文字数:2978文字
ショウ×あいら、ヒビキ×りずむ(ワタみお要素あり)
あいらちゃん、りずむちゃん、みおん様は出てきません。44話放送14周年に寄せて書きました。

 その日のCallingsの楽屋は尋常でなかった。
 ショウは何をするでもなく頭を抱えていて、いつも騒がしく話を始めるヒビキは黙っていて、そんな二人を案じてワタルはコンビニまで買い出しに行っていた。
 ショウもヒビキもお互い昨日と様子が違っていることに気づいている。けれど踏み込み切れずにいた。

「ただいまー! 見てこれ、いちごフェアやってたから色々買ってきたんだ~」
 雪解けのような笑みを浮かべてワタルが帰ってきた。
 レジ袋からロールケーキ、モンブラン、エクレアといったスイーツから飲み物まで、たくさん買い込んできたようだ。ショウとヒビキに適当に配っていくが反応は薄い。
「二人ともそんな暗い顔で収録大丈夫? そうだ聞いた? 今日の罰ゲーム!」
「ああ……」「ねえショウ聞いてないでしょ? 最近あった恥ずかしいエピソード暴露だってさ」笑いながら言うワタル。努めて明るく振舞っているのが他の二人にもよくわかった。
「罰ゲームなんだから……負けなければいいだけの話だろ」
「それ本調子じゃない人に言われてもさ~。だって今日の相手って……」
 
 共演者について話しはじめるショウとワタルを横目に、ヒビキは無糖のコーヒーを開封した。
「あれ? ヒビキ珍しいね、苦いやつ」
「俺だって、苦い気分の時はあるの」
 ワタルにそう言い返してコーヒーを啜るが、味はあまり感じられない。
「まぁブラック平気だもんね。でも珍しいじゃん。あ、昨日バレンタインだったから胸焼けでもしてるの?」

 バレンタイン。その言葉を聞いてヒビキの顔が強張った。
 同時にショウも顔を上げて、楽屋に置かれたスポーツ新聞の一面を目に入れた。
 顔ばかりいつものようにうるさくて口はだんまりなんだから、とワタルは思いながら息を吐いて立ち上がって二人に向き直る。

「ねぇ。昨日。バレンタイン。何かあったんでしょ?」

 ついにストレートを投げられ、二人は思わず顔を見合わせる。どっちから話すんだよとでも言いたげに。
 ショウはもう一度新聞を見て、それからヒビキとワタルの方へ体を動かした。

「──もし、大切な人の記憶が無くなったらどうする?」

 その質問が突然だとは誰も思わなかった。詳しく言わなくてもショウが何を考え誰を想って言ったのかがわかる。それくらいこれは彼らにとって身近で重大な問題なのだ。
「……僕は。そばにいてあげたいと思うよ。記憶が無くても……また、笑顔が見られるように」
 ワタルは彼らの中ではこの問題から最も遠くにいる。だけれど彼の言葉は信念と責任に満ちていて、二人はその誠実さに心から安心した。
 ショウは呟く。「俺は……自信ないんだ。記憶が無くなるなんて、耐えられねぇよ」心を許した相手だからこそ吐ける弱音だった。弱弱しくも切迫したそれに、自分の考えに更けていたヒビキさえもショウの方を見る。ショウは、危うく爪が食い込みそうになるほど強く拳を握りしめていた。
「できることなら俺が守ってやりたい。涙は見たくないし、辛い思いはしてほしくないだろ」
「でも……」ヒビキがその日珍しく食い気味に発言した。「その大切な人にとってもっと大事なもののためなんだったら、応援しないとって俺は思う」
「……ホントにできるかは別だけどね」
 事情をどれくらい察しているのか──ヒビキの言葉の中にあった僅かな迷いに反応してワタルが言った。

「二人とも、そんなに全部抱え込もうとしなくていいんじゃないかな」
 なるべく肩の力を抜いてあげたい、二人のことを切に想ったワタルの言葉だった。
「例えばさ、僕たちのそれぞれの人生だって痛みや苦しみは避けられないじゃん? だから、僕は僕の大切な人たちとそういうのを一緒に乗り越え合って、支え合っていけたらなって思うんだ」
「ワタル……」二人は彼の言葉が優しく大人で、覚悟の決まっていることを感じた。その意思の強さは彼の憧れる高峰みおんを思い出させる。
 
「……そうだな、アイツはすげぇヤツだから……信じるよ、ああ。信じる──」
 ショウはひとり逡巡する。
(それでも……他でもないアイツだから、俺は悲しみから守ってやりたい。だからあのストーンをデザインしたんだ)
 その思いは変わらない。しかし、今はそのことを考えてショウ自身が固く険しい気持ちになってしまっていたのを自覚したから。ワタルの言葉によって少し荷物を下ろして──彼女を信じる気持ちを持つことにした。
「それに、俺に今できることはやったから」
 ショウはそう言うと椅子の上で伸びをする。すると反対に今度は一層ヒビキが頭を抱え始めた。
「今できることか……」
 ヒビキに何かやり残しややるせなさがあることにショウもワタルも気づいていたため、敢えてその発言について何も言わなかった。ただ、考える時間を与えてやりたいと思って話を今日の収録の話に戻した。

(俺だってできることをやってきたつもりだったよ。それにこれからだってあの子に協力してあげたい。だけどそしたら……。あの子の笑顔がなくなってしまうかもしれないんだよ……)
 
「だからさ、思いつかないんだって~! あーあ。昨日自販機の下に10円落としちゃったんだけどさ、必死になって取ればよかったのかな」
「いや、エピソードとしては弱くないか?」
「だよねー。うわ~なんか他になかったかな」
 ほとんどいつもの調子で話していたショウとワタル。すると、ヒビキが不意にそちらを向いた。考えが落ち着いたのかと思われたが、次に発されたのは意外な一言だった。
「俺、あるよ。恥ずかしいエピソード」
「……えっ。な、何?」
 意表をつかれたので、ワンテンポ遅れてワタルが反応する。
 
「フラれたんだ」
 更なる驚きに目を丸める。ヒビキは真剣な真顔で冗談でないのは明白だが、何を思って言ったのか計り知れない。
「……いや、それは……。話せないだろ……」
 ショウが真っ当なことを絞り出す。
 するとワタルがブハッと吹き出して「ごめんごめん、笑っちゃいけないんだけど、つい……」と言った。
 ショウも時間差で妙な面白さに腹を抱える。笑ってはいけないと思いつつも、今のヒビキは珍妙すぎる。
 ヒビキはというと、二人に笑われたことへの理解には若干時間がかかったものの、少しづつ体がほぐれていくのを感じた。
(今できること、ないかもしれないけど……まだあの子のために何かしたいって思う気持ちはムダじゃないはず……)

「Callingsのみなさーん。そろそろスタジオ入りお願いしまーす」
 そこでノックと共にそう告げられたので、「はーい」と返事して三人は立ち上がった。
 ヒビキは最後にコーヒーをもう一度口に含める。
(苦い……)
 そして、備え付けの冷蔵庫にそれをしまいつつショウとヒビキに向けて、「俺、Callingsでよかったよ」と伝えた。
「えー何!? 今日のヒビキは突然だね!?」
「いや、わかるよ。……俺も二人に感謝してるし、Callingsでよかったと思う」
「うわ、ショウまで! やだなーなんかこういう雰囲気今恥ずかしんだけど!」
「おっいいね。話せる恥ずかしいエピソード来たじゃん」
「まぁ勝負に負けないのが一番だけどな」
「ほんとショウはそればっかり──」
 
 楽屋のドアを出たら、いつもとなんら変わりのないCallings。
 悩む暇さえ無いほど忙しそうに見える彼らだが、年相応に悩むこともある。
 いや、悩みの種は彼らの年頃で抱えるにはやや重い。
 だからCallingsは、三人いるんだろう。

あとがき
ほぼ2週間も遅刻している……!!!
書くのすごく大変でした❣❣文字数少ない割に、Callingsのことを想うと言葉選びが難しくて、、。
最初はショウあいでティアドロップ絡みの何か書ければと思っていたのにいつの間にかCallings話にーー。
46話まで救いのないヒビキが好きなので(子どものりずむちゃんに恋をするんだよって言って光を与えるやつ❣これさえもヒビキ本人あいらが言わなければ知る由もないんだけど)ヒビキはここですっきりさせるつもりなくて。でもなんか上手くまとまっちゃった!笑
ストーリーは良いけど、テンポの悪さと地の文が気になるので★★★★☆

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