おとめ倶楽部

キラキラオトイメロイメモリ

No.8

おかしいのは暑さのせい

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原作:あんさんぶるスターズ!
種別:男女CP小説
時間軸:「清夏!サマーキャンプ」第六話の行間
文字数:2107文字
大神晃牙×あんず
※一部ストーリー未読のため、内容を把握できていない箇所があります。

 友也と別れた後、あんずは再び軽音部室へと向かっていた。
 歩きざまに通りかかった教室の時計を確認すると、椚先生の所へ向かおうとしてからまだ1時間程度しか経っていなかった。昼過ぎの、いよいよ暑さもピークの時間。
 団扇もハンディファンも何も持っていなかったあんずはこのまま手ぶらで部室を訪れるのも気が引けたため、一旦自動販売機へ向かうことにした。
 UNDEADへ差し入れをするとして、朔間先輩にはトマトジュースでいいのだろうか。先輩も人間ならミネラルウォーターが良いとは思うのだが、吸血鬼、であるらしいし……。羽風先輩なんかはひょっとしたら帰ってしまっているかもしれない。アドニスはぬるくなった飲み物を持参していたけれど、新しく冷たい物を持っていくべきか。
 考え事をしていれば自動販売機は目と鼻の先までやって来た。正確にはあんずから向かって行ったのだが。
 販売機の前に、ふわふわの銀髪が見えた。廊下の端の窓から差し込む光に照らされて眩しく思える。わしゃわしゃと頭を掻き溜息を吐いているようだった。いつもより静かなのは、独りだからではなくて暑いからなのだろうけど。
「大神くん」
 彼はあんずの声に肩を震わせ、眼を見開いてこちらを向いた。
「……テメ〜、いつからそこに……ったく、俺様を驚かせるんじゃねェよ」
 暑さに耳を垂らしているようだが、特に体調は悪くなさそうなので胸を撫で下ろす。
「今来たところだよ、また軽音部室に行こうと思って」とあんずが言えば、「そーかよ」と短く呟く。
 何も買っていない様子の彼があんずに販売機の前を譲ってくれる。
 よかった、まだ商品は大して売り切れていない。4本分くらいのお金を入れ、ボタンに手を伸ばすのを見て「おい、俺様たちは差し入れなんていらね〜よ」とあんずの手を遮るようにボタンを手で覆い睨まれる。
「……折角4人集まっていたんだから、夜になれば活動できるでしょう? それを支えたり応援するのが私の役目だから」あんずは真っ直ぐに見つめて言った。「ね、受け取って」
 あんずが柔らかく微笑むと、彼も睨むのをやめる。思いを汲み取ってくれたようで、今度はジトリとした目でボタンから手を退けた。そして今度はあんずの代わりにトマトジュース1本、ミネラルウォーター3本を買う。
「ありがとう」
 受取口へしゃがんでおつりを引き出した後4本のペットボトルを抱える。彼のお陰で朔間先輩が何を飲むかも、羽風先輩の所在もわかった。晃牙のこういう優しいところ──UNDEADの仲間のことを理解していて、まだわからないことの多いあんずをリードしてくれるところ──があんずは好きだ。
 ……勿論、友人として。言い聞かせるまでもなく、彼とあんずは友人だ。そして、アイドルとプロデュース科の人間でもある。
 考え事しながらよっと立ち上がると、
「おい、あんず。すげ〜汗かいてんじゃね〜か」
 なんて、心配するように言われる。
 自分でも頭から足先まで汗をかいている自覚はあるが、両手が塞がっていて今はどうしようもないのだ。寧ろその状態で差し入れのペットボトルを抱えていることに申し訳なさを覚える。
 だからどうしたの、とでも言いたげに彼を見やると、驚いたことに。彼はなんと、自分のハンカチであんずの汗を軽く拭い始めた。
 まるで彼がいつも仲間たちにされているような……犬扱いをされている気分だ。
「あんずに風邪引かれちゃ、困んのは俺様たちだかんな」
 あんずにというより、自身に言い聞かせているようだった。
 じっとり二の腕に張り付いているものや、垂れてきていた首のものを拭かれるとくすぐったいし恥ずかしい。
「わぷ」
 鼻の頭を拭われると変な声が出てしまう。彼はそんな私を見てニヤリと目を細めた。
 こんな笑い方もできるものかと思った。心臓が早鐘を打つ。
「ハッ。おめ〜、何顔赤くしてんだよ」
「あ、暑いからだよ」
 煽るような愉快さを孕んだ彼の様子があんずは少し悔しい。今確かにあんずの顔は、暑さ以外の理由で赤いのかもしれないということに自覚的になりかけていた。
 だがここで、アイドルになんてことをさせてしまっているんだろうとあんずは我に帰る。こんな距離感はいけない。
「……もういいよ大神くん。ありがとう」
「おうよ」
 彼はやっぱり世話焼きなんだなあと感じられる。
 とはいえ、飲み物が冷たいうちに移動しなくてはならない。
「おらっ」「!!」
 あんずが歩き始めたところで突然首に冷たいものが当てがわれた。
 彼はさっきと同じ優しい眼差しをこちらに向け、手には新たなミネラルウォーターを携えている。
「やるよ」
「えっ、でも……」
「い〜から貰え」
 それから彼は、俺様たちの分は俺様で持つ……なんて言って手に持っていた1本とあんずの腕の中の4本を乱暴に交換する。
 両手に2本ずつ水分を持った彼はやけに機嫌が良く見えた。大分暑さが限界を迎えているのだろうとあんずは結論づける。
 即ち、可及的速やかに部室に着いて水分補給させるべきだ。
 それなのになんということだろうか、彼はあんずに歩調を合わせてくれている。
 さっき友也は彼を怖がっていたけれど……今は暑さに浮かされてるとはいえ、彼には優しいところが沢山あるのだ。
 だからきっと、良い夏合宿になる。

あとがき
2024年に書いていたやつを加筆修正しました。もうこれで過去の作品は無いはず……。だから暫くドルあんは理由が無ければ更新しないかな……。
時間軸調べるために該当話ちょっと読み直したけど、飲み物の差し入れという友也くんのやってることを(時系列違うにしろ)パクッていてそれでいいのか。何考えてたんだ過去の私は(TT)
というか、サマーキャンプを2024年に読んでる私って……になる。ストーリーって丁寧に読んでもそれ一回だけじゃあまり記憶残せてなくて残念。。自分が。。。
甘さが程よく晃あんだけど、なんか読んでてこっ恥かしくなるから★★★★☆

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